津和野でウルトラマラソン?
それは2月のある日でした。
ランネットを周遊していると、なにやら怪しげな大会の情報が…
その名も「津和野街道早駆け大会」
う~む、いかにもマイナーな感じの大会です。
今年で2回目ですが、去年は97キロだったそうです。
なるほど、それで知らなかったんですね。
私はいつも100キロでしか検索しないのです!
島根・津和野から広島の廿日市まで走るようですが…
島根県はウルトラマラソンが多すぎませんか???
隠岐の島ウルトラマラソン、えびす・だいこく100キロマラソン、奥出雲おろち100kmウルトラ遠足、弥栄ウルトラマラニックに続いて私が知ってるだけでも5つ目です。
何故ここまでウルトラマラソンが好きなのか?
やはり県民性でしょうか…
という訳で早速エントリーって、ちょっと待て!
参加資格がフルマラソン完走経験になってるじゃないか!
という訳で資格のない私は早速メールで交渉開始!
結果をまとめると…
「100キロ走るのに全く走力の無い人に出られたら困るから一応フル経験と書いているんだけど、100キロ走る実力があるならOK。あんたは好きに出てください。」
ということでした。これで晴れてエントリー完了です。
さて、前日。
岡山から六日市ICに出てそこから津和野町まで下道をひたすら進む。結局4時間近く掛かりました。
で、受付会場の太鼓谷稲成神社へ到着。
どんなとこだろう?
と思いましたが…
うーむ…なんか来たことあるぞ!
そう言えば萩往還マラニックの帰りに寄っていた神社でした!
小京都、津和野町を一望出来ます。
受付場所は神社の中。
神社の中ってまず入らないですよね。
ここで受付です。
名簿を見る限り100名はいなさそうですね。
そして受付が終わったらみんなで移動します。
完走祈願が始まりました。
その後、宴会場へまたまたみんなで移動。
受付でお守りをもらう。
これを持って走ってくださいということでした。
迷子にならないよう気をつけなければいけませんね。
一番奥のテーブルに行きますが、私の他にいるのは1名だけ!
これを二人では食べ切れません!
頑張って死ぬほど食いましたが、やっぱり無理でした。
そして始まった石見神楽です。
岡山にも備中神楽というのがありますが、結構面白いのです!
この辺りで退散し、津和野ホテルで一泊。
さて翌日、ホテルから1キロほど離れた「鷺舞モニュメント広場」へ向かいます。
ここがスタート地点です。
当日の出走確認を済ませ、いよいよスタート。
今回のポイントは3つ。
2つ山を越えるが上りがキツイ。
エイドは10か所と少ないのでランニングベストを背負って走る。
道案内は少ないらしいので、分からなくなったらそのたびに止まって地図でルートを確認する。
以上ですが、あまりプラスの要因はありませんね!
さて、どうなるかな。
ライトと熊鈴は携帯必須です!
そして太鼓の音とともにスタート。
制限時間は14時間です。
4人1組リレーの部のお兄さんがぶっ飛ばしていきますが2番手は自分でした。
つまり個人の部の先頭。最初の1キロはキロ4分半ほど。
2キロほど走って川を渡る。
その先は明らかに上り坂!
ここが最初の試練、青野山です。
早くも嫌になってきた(早過ぎ)。
リレーの部と津和野街道を走る!
さて、いくら上りが嫌いと言っても仕方ないので青野山に上ります。
そこで後ろからソロの男性ランナーが上がってきて並走する。
ついでに、リレーの部のちょっとぽっちゃりランナーが合流。3人で走ります。
しばらく観察していましたが、ソロの男性ランナーは全く息が切れていません。
ちなみに私は息も絶え絶えです。いつもですが。
さらにちなみにリレーのお兄さんはゼーゼー言って死にそうな形相です。なんともはや…
聞けばこのソロの男性、昨年も出てるそう。
今年は4月末にさくら道ネイチャーラン250キロ、5月2日から萩往還の250キロ、70キロを立て続けに完走しているとのこと。
自分も絶好調ならともかく先月100キロで13時間近く掛かってしまったこんな状態ではとても勝てません。
これだけの強豪ならさすがに息も切れていないはずだ…
2キロから8キロまで上ってそこから一旦下りですが、自分はキロ5分以上では走らないので2人にあっという間に置いていかれました。ただしお兄さんは次の上りで抜かしましたが。
しばらくして別のリレーの部のランナーも来ました。
ここからは私とリレー2チームが抜きつ抜かれつを展開します。
最初のエイドはなんと17キロ地点です。
遠すぎますね。まあ仕方ないが。
エイドはバナナ、オレンジ、パンの食べ物に、飲み物は水、アクエリアス、コーラの3種類。
最低必要限揃っているので私は贅沢は言いませんが、食道楽のランナーからは不満が出そうですね。
この後のエイドも出てくるものはほぼ同じでした。
第1エイドを過ぎるとしばらく平坦です。良かった。
しかも雨が降ってきましたよ。
涼しくて走りやすい。
ペースはキロ5分10秒台くらいで進みます。
体調7割といったところですが、雨のおかげで順調です。
第2エイドは25キロ地点。近く感じます。
遠くからスタッフさんが叫んでいるので手を振ってみたら喜んでくれました。
なんかビデオで撮影されてますね。頑張って優勝しよう!
35キロ、第3エイドまでも順調。分岐点ではスタッフもいるし、旗も立っているから迷うこともありません。
相変わらずリレーの部の2チームは近くにいます。
次は42キロの芳賀町役場の第4エイドまでも好調。
脚も止まる様子はありません。良かった~。
ここまで順調ならおそらく大失速はありません。
ここのエイドではおまんじゅうもあります。
「持って行ってね~」
と言われたので
「じゃあ途中で食べます!」
と言って貰って行きました。
しかし腹が減ったので5分もしないうちに食べました。
胃の調子もバッチリ。これは最低でも2位にはなれるな。
49キロの水源会館エイドは4時間29分くらい。
上り坂と地図の確認時間を含めてもまあまあ良いペース。
ここでトイレに寄っておく。
その先も順調だね~
なんのトラブルもないまま進んでいきます。
55キロ手前、深谷大橋、ここを渡ればなんと一旦山口県の岩国市に入ります。
リレーの部に付いてさらに進んでいきますが…
ふと、前の2チームが止まってる。
どうやら国道に出たようですが、どちらに曲がるか悩んでいるらしい…
看板には右に山口・岩国、左に広島・廿日市となっています。
「どちらの道ですかね~」
おいおい、8人もいてナビもあるのにおいらに聞く?
「岩国に向かって羅漢山を越えてから廿日市方面に行くから右ですね」
「ありがとうございます」
そして国道を右に曲がってちょっと進めば羅漢山への登り口が見えるはず。
が、ちっとも見えませんね!
2キロほど進むと、右に橋があります。で、左を見ると
「ここを右に曲がる!」
といった感じで案内看板が出ています。
つまり、「橋を渡って右に曲がる」ということです。
と、いうことは橋の左手からやってきた私はコースアウトしていた訳ですね!
嗚呼、なんてこった!
実は深谷大橋を渡ってしばらくしたら右に曲がらなければいけなかったのですが…
みんなまとめて真っすぐ進んだんですね…
仕方ない。
テンションが100%から8%くらいに下がりましたが、とりあえず「57回目の100キロマラソン完走」をしなければいけないのと、100キロマラソン完走率100%を維持しなければならないので、仕方なく走ります…
あー面倒くさ!
雨に打たれて
さて、羅漢山への入り口には旗がちゃんと立ってます。
しかし、どうも信用出来ない、と思い地図と携帯で確認します。
うーむ、どうやらこの道は正しいようだ!
と、思ったら大会運営スタッフの車がやってきた。
「どうしましたか?」
「この道で正しいのか確認してました」
「こちらで合ってますよ、困ったら電話してくださいね」
親切なのはいいけど、それなら案内をもう少し…
さあ行きましょう!
と思って上り始めたら雨が強くなる。
そしてだんだん坂がきつくなる。
すぐに歩きだす。
まあ今回は完走出来ればいいや。
次のエイドは60キロのはずですが、私のガーミンは63キロを超えていました。
そして後ろからランナーがやってきます。
あっさり抜かれました!
次々抜かれ結局5番手で進んでいきます。
一旦道が平坦になったと思ったら広島県に入りました!
そろそろ下りかな?
と思ったらまだ上るらしい。
正直村岡より坂がキツイ気がします。
走れるところは走り、無理な所は歩きます。
分かれ道でない所に無駄に旗があるのが辛いですね…
ところで少し寒くなってきましたね。
標高も1000mを超え、土砂降り、歩きが混じり出すと厳しいです。
走り続けていたら全然平気ですが。
という訳で何故か用意してた穴を開けたビニール袋を被ります。
前日ホテルでたまたまビニール袋を持ってきてることに気づき、穴を開けてたんですよね。
まさか使うとは。
しかしその後あっさり下り始めました。
これで走れますがまあ一応着たままにしておきます。
さて、下り切って分かれ道に出ますが、どちらの道か分かりません!
またもや止まって携帯で調べますがどうやら左らしい。
案内を出しておけばいい話なのに…
農道を進むと後ろから車でやってきたおじいちゃんが窓を開けて、
「わしゃ手伝ってあげれんけど、頑張れ~。雨に負けるな!」
「ありがとうございます、雨ごときに負けたことは無いですよ!」
坂に負けたことはあるけど。
さて国道に出ました。
また案内が全く無い(笑)
しかしここは右なのです。事前に調べておきました。
しばらくして道の駅スパ羅漢エイドに到着~。
やっと73キロです。
あー腹減った。パンを食いまくります。
「前の人達もたくさん食べてたよ」
「前のエイドと13キロ空いてますからお腹空きますね、しかも坂で時間が掛かるから」
「結構リタイアが出てるみたい」
「そうなんですか?」
「雨で寒くてリタイアした人と、道を間違えてやめた人もいるみたい」
えっ、寒さはともかく道間違えたのは運営が…まあいいか。
「自分も道間違えたんですが」
「そうなの?」
「余分に走ってしまって。失格にならないですかね?」
「ショートカットした訳じゃないんでしょ、大丈夫大丈夫!」
(´・Д・)」
しばらくやや下り基調の道を進みます。
さて、交差点で怪しい案内が…
次のエイドは佐伯商工会なのですが、道路標識には左に「佐伯」とあります。
しかし案内は全く無い。
うーむ、何もなければここはさすがに真っすぐだろう。
と思い少し進みます。
しかし
しかし
しかし
怪しいですよね
結論を発表しよう!
左でした(笑)
さあ、頑張るぞ!
83キロのエイドに到着、出発。
この辺り、道幅が狭く歩道を走りますが、歩道が右だったり左だったり。
まさしく右往左往…
90キロのエイドを過ぎる。
また下り基調。
元々下りも嫌いですが、終盤の下りはさらに辛い。
95キロからは廿日市の街中を走ります。
ここで前のランナーを一人抜きます。
残り3キロはダッシュです。
残り2キロで大会の車が先導してくれます。
うーむ、ゴージャス。
しかも誘導員がやたらたくさんいます。
この誘導をもう少し他のところに…まあいいや。
最後はゴールの正覺院への坂を上ってゴール!
あー疲れた。10時間45分でした。
皆さん暇だったせいか、何故かインタビューが始まります。
「いやー、とても格好いいですね!」
「ありがとうございます(当然でしょう)」
「装備も服装も格好いい」
「ありがとうございます(それは中身が格好いいからです)」
ここまではいつものことです。格好良い人の宿命なので面倒くさがってはいけません。仕方ない。
「ずっきーさんは応援やボランティアの人に笑顔で応えてくれて、手も振ってくれたり」
…ん?
そういえば、スタッフの車があっちこっちで撮影してたけど?
「そういうのはやはり何か思いがあって?」
「マラソンって、走る人だけでなく準備してくれる人や応援してくれる人全てで成り立っているものなので」
「なるほど」
「みんなが楽しめるのが良いマラソン大会だと思うんです」
「なるほど」
「選手は皆さんに感謝しなければいけないし、そう思うのならそれは伝えていけばいいことだと思うんです」
「ほう」
「マラソンって自分の思い通りにならないことが多いですけど、応援してくれる人のためにもベストの結果でなくても必ず完走だけはしたいといつも思っています」
「いや~、素晴らしいですね」
マイナーウルトラマラソンを上位で走ってると、特に後半のエイドのスタッフが寂しそうにしてることが多いんですね。
そういうときに遠くから手を振ると、とても喜んでくれるのです。で、到着したらやっぱり油断してるからよく話しかけてくれるんですね。
皆さんは知らないかもしれませんが俺は素晴らしいランナーなんですよ!
いやー良い大会でしたね!
ちなみに4位だと思ってたら5位でした。
コースロスト中に1人抜かれていたようです。
それはさておき表彰式があると。
なんと、前4人が全員40代だったので30代の部で1位なんですと!
こういうところは悪運が強かった…!
住職から賞状をいただきました~
ありがとうございます。
テキトーだけどとても人情あふれる、
そして人のカッコよさを見る目がある、ナイスな大会でした!