みなさんはアシックスのターサーシリーズを履いたことがありますか?
今は最新作のターサーエッジが発売されていますね。
尖りすぎていたターサージールより敷居が少し低くなったとの噂です。
私もまだ購入していないのですが、店でジロジロ見る限り(ヲイ)、おそらく履きやすくなったのではないかと思います。
ターサーエッジの前のシリーズがターサージール。
6代続いた人気シリーズで、私が走り始めたころは今ほどナイキの隆盛もなかったですし、世の速い市民ランナーはこのシューズで走りまくっていました。
「いつかはターサー」ですね。
私も「いずれターサー(笑)」派でしたが、もともと柔らかめのシューズが好きで一度ターサージール5を履いて100キロ出たらボロボロにやられてからはあまり手出しをせず…
といってもシューズ自体は持っているので、ヒートレーサーやライトレーサーで満足して自信を付けたらターサージールで走り、「…やっぱりヒートレーサーは最高だな。。。」と追い返される日々を送っておりました。
シューズの構造的にも、並みのランナーがウルトラマラソンなどの長距離でドタドタ走るのに向いているとは思えず。
はっきり言って私にはあまり縁がないシューズでした(持ってるけど練習でしか用がない)。
反発力とスピード重視のこの傾向はジールの前の「ターサーゲール」、その前の「ターサーRSアリビオ」、その前の「ターサーブレイス」から変わっていないらしく(聞いた話ですよ)、一本筋の入ったアシックスの心意気を感じるものです。
しかし、このシリーズの他に独自の地位を築いているターサーシリーズもあるのです。
今回の主役、ターサージャパンですね。
ターサージャパンはこの20年、大きな変更をされず現在に至っています。
不変のモデル・ターサージャパン
実は私の知り合いのウルトラランナーはこのターサージャパンを履いている人が多いのです。
私はターサーと言えばターサージールの硬いイメージしかないので、ターサージャパンも同じだと思い、こんな硬いシューズで走るなんて体の構造がおかしいんじゃないか?と常々思っておりました。
で、つい
「ターサーで走るなんて凄いですね、足の裏が痛くないですか?」
と聞くと、
「いや、そこまで衝撃無いですよ」
「え、僕はターサージール履いて、100キロ走ったら死にそうになりましたよ」
「ターサージャパンはジールよりちょっとクッションがあるんですよ」
なにィ!
そうなのか?
というわけで早速検証。
ターサージャパンの構造について
新規購入したターサージャパンです。
一見ターサージールと変わらないようですが、作りはさすがに丁寧です。
上から見るとこんな感じ。
流石アシックス、すっきりしてますね。
実はスリムタイプもあるようなのでそちらが良かったんですが、入手できませんでした。
踵はこんな感じ。
踵を固定して無駄な動きを防ぐ…
というレベルのシューズではないのでかなり緩そうですね。
足裏です。
以前は丸ポチだったのですが、滑りやすかったらしく現在はターサーエッジと同じくテトラポチです。
グリップ力がありそうですね。
横から見たところです。
実はターサージャパン、ターサージールやターサーエッジと比べると踵が高く、つま先が薄いのです。
そのためシューズの前後に高低差がありますね。
踵にはゲルが挿入されていますしね。
クッション性が少しあると言われる所以です。
屈曲性は…あまりありません。
頑張って推進するシューズです。
ひ弱なウルトラランナーでは持ち味を生かせないかもしれません(笑)
ターサージャパンを履いて走ってみる
ま、履いてみましょうか。
まず…
踵が高いですね。
体が前傾します(笑)
自然とフォアフット「気味」になります。
足のホールド力はありますが、踵は走りを邪魔しないように緩めですね。
で、走ってみますと…
衝撃はターサージールより随分マイルドです。
ターサージャパンは踵にゲルが入っていますし、そもそもミッドソールの素材がターサージールやターサーエッジと違います。
ターサージールのミッドソールに使われているのは「FlyteFoam」
これは衝撃吸収性と反発性を高めた素材、とされていますが…
正直クッション性はそれほど感じません。
反発力は凄いです!しかも軽い!
ターサーエッジに使われているのは「FlyteFoam Propel」
FlyteFoamより重いですが衝撃吸収性は高まっています。
そしてターサージャパンに使われているのは「Speva」
これは衝撃吸収性が一番大きいです。
ただ、ターサージャパンの場合は前足部のソールを薄くしてスピードを上げやすいようにしています。
実際スピードを上げてみると、グリップ力はあるのでやはり結構上がります。
しかし、ターサージールのようにガツンと跳ねるような感覚ではないため、練習不足だと距離が長くなった場合に疲れやすいかもしれません。
よく言うと安定性がある、悪く言うと少し動きに無駄があるというか…
まあ、クッション性がある以上、動きに多少の無駄があるのは仕方ないことですが。
ただ、先ほどの「前傾」がポイントで…
おそらくターサージールやターサーエッジよりストライドは大きくなると思います。
その場合、ピッチ走法よりはそもそも接地回数が減って無駄が減るため、衝撃がマイルドな分走りやすく感じるでしょう。
お!
ちなみに重量ですがターサージール5の170gに対し、ターサージャパンは200g超えています(27cm)。
これはターサージールが軽すぎるだけで200gでも十分軽く感じると思います。
ターサージャパン総評
ターサージャパンはランナーを助けるというより、ランナーの走りを邪魔しないようなやや上級者用のシューズです。
基本的には体重移動というよりは自らの力で蹴って進むタイプのシューズなのでフルやウルトラの後半で失速してしまうランナーにはあまり向かないかもしれません。
ただ、見た目よりはクッション性もあり、ターサージールやターサーエッジのような「失速し始めたらデメリットだらけ」のような尖った性能でもないため、上級ランナーに片足を突っ込み始めたランナーでも使用しやすいです(もちろんウルトラでも)。
このシューズの練習用の位置づけのフリークスジャパンを履きこなせたら違和感なく走れるかもしれませんね。
(フリークスジャパンも前後の高低差があり、ターサージャパンに似たシューズですがクッション性はより高く、重量もあります)
100キロで使用するなら9時間を切るようなランナーにおススメです。
快適に走れるでしょう。