ランニングシューズの硬さと厚さを考えてみる

硬いシューズが良い?薄いシューズが良い?

シューズに関しては多くのランナーが悩むところです。
今回はその中でもシューズの硬さと厚さに注目してみました。
ちなみに硬さってどこのことを言っているのか?
まあ、普通に考えたらシューズのアウトソールですね。

硬さや厚さの影響は反発力に表れる

シューズを選ぶとき…
ランナーはまず何を考えるか?
まあある程度経験を積んだなら「どのくらいのスピードで走れるシューズか?」ということを考えるでしょう。
初心者でなければ、いきなり「クッション性が~」とか「履き心地が~」とかは考慮しないと思います。
とりあえずスピードでしょう。
で、速く走れるシューズは何故速く走れるのか?

それはですね。
地面からの反発をどれだけ活かし、無駄のない動きで蹴りだすか、ということに掛かっているでしょう。

硬いシューズの方が速く走れる

まず、足が地面に着地してそこから蹴りだすとき、硬いシューズと柔らかいシューズのどちらが無駄なく蹴りだせるでしょうか?
普通に考えたら硬いシューズですよね。
地面に着地してその衝撃をダイレクトに活かして進めます。
柔らかければソールが地面に接触してぐにゃっと変形(大げさに言っています)し、そこから蹴りだすため無駄が生じます。
要するに硬い方が着地から蹴りだすまでの時間が短いんですね!

薄いシューズの方が速く走れる

こちらも同じです。
アウトソールが地面に接触してからワンクッションが無い薄いシューズの方が無駄がありません。
どう考えても厚いシューズより薄いシューズの方が蹴りだすまでの時間が短いですよね。

シューズ選択は衝撃吸収性(クッション性)も考慮する

これだけだと硬くて薄いシューズが速く走れるんだからそれでいいじゃないか!
となってしまいますが…それは間違いです。
みなさんはマラソンを走ろうとしているのです。
1キロや2キロではないのです。

もちろんみなさんは気づいていますよね。当たり前です。こんなシューズでばかり走っていたら脚が壊れます。
クッション性についても考えなければいけません。
柔らかいシューズや厚いシューズは地面の衝撃から足を守ってくれます。
クッション性が高い訳ですね。
反発とクッション性。

これをいかに振り分けるか、というのがシューズ選びの悩ましいところです。
ランナーのタイプやレベルによって変わりますしね。
薄いシューズと厚いシューズで100キロを走って較べてみたら、ダメージの違いに驚きます。
ちなみに「反発力とクッション性を両立!」みたいな売り出し方のシューズもありますが、両立はできません、たぶん。

柔らかい・厚いシューズが向いているランナーとは?

では実際にどんなタイプのランナーがどんなシューズに向いているのか?
まずは柔らかい・厚いシューズに向いているランナーについて考えてみましょう。

先ほど柔らかい・厚いシューズは蹴りだすまでのロスが大きいということを述べました。
つまり、100キロだろうが1000キロだろうが「ゴールするまで着地の衝撃に耐えられるランナー」なら、こういったシューズは不要なのです。
ロスが小さい、硬い・薄いシューズの方が効率的ですし、疲れにくいです。
ただ、現実には走っていれば衝撃による痛みも蓄積していきます。

と、言う訳で柔らかいシューズの出番なのですが…
ランナーのタイプによって向き不向きがあります。

まず、ピッチに関して考えてみましょう。
ピッチが大きいランナー、ピッチが小さいランナー、どちらが柔らかいシューズに向いているでしょうか?

何度も申し上げている通り、走るときには一歩毎にロスは発生します。
ロスが大きい柔らかいシューズなら、ロスのトータルも当然大きくなりますよね。

しかし、ピッチの大きいランナーなら同じ距離を走るにしても、トータルの歩数が少ないのでピッチの小さいランナーよりロスは小さくなります。
つまり、柔らかい・厚いシューズはピッチの大きいランナーに向いているんですね。

もうひとつ、ピッチの大きいランナーに柔らかいシューズが向いている理由があります。
ピッチの大きいランナーは一歩毎の着地の衝撃が大きいですよね。
クッション性の高いシューズならその衝撃を吸収してくれるので、最後まで脚が持つ可能性が高くなります。

同じ意味で体重が重いランナーも柔らかいシューズが向いています。
走るときには1歩ごとに体重の3倍の負荷が掛かるんですからね。

という訳でまとめると…
柔らかい・厚いシューズが向いているのは
ピッチの大きいランナー(脚の長いランナーはピッチが大きくなりやすいですよね)
体重の重いランナー

となります。
もちろん脚力・ランナーのレベルによっても変わりますが基本的な考え方はこんな感じです。

硬い・薄いシューズが向いているランナーとは?

こちらは逆です。
ピッチの小さいランナーはトータルの歩数が大きくなるので、ロスの小さい硬いシューズが向いています。
また、一歩毎の衝撃も小さいのでその意味でも硬いシューズ向きです。

硬い・薄いシューズは
ピッチの小さいランナー
体重の軽いランナー

に向いているということですね。
つまり日本人はこちらのタイプが向いているランナーが多いと思われます。
どうでもいいですが私も短足です(涙)

練習では硬いシューズがおススメ

まあ、とはいってもそれぞれの好みもありますし大会本番では走りやすい、気分よく走れるシューズを使用してもいいと思います。

ただ、練習ではたとえデブでも硬いシューズの使用がおススメです。
練習とは能力アップのために行うもので、そこで快適さを求めても仕方ありません。
ロスの無い動きで筋力アップしなければいけないのです。

そこでおススメしたいのが硬くて厚めのシューズ。
マラソン入門で柔らかい厚底シューズを使用してしまうと、どうしてもその快適さが忘れられず、走力がついてもそのまま柔らかいシューズで練習してしまうことがあります。(私もそうでした)

厚めで硬いシューズを使用するときに、初めは違和感(シューズに乗っかってる感)がありますが、衝撃もロスもそれほど大きくなく練習効果も期待できるため是非試していただきたいです。

アシックスの中級者用シューズのゲルフェザーグライドとゲルDSトレーナー。
厚底柔らかいのがゲルフェザーグライド。
厚底硬めなのがゲルDSトレーナー。

私の周りではゲルフェザーグライドが圧倒的人気です。
履き心地が良く軽い。
ストレスがありません。
人気になる訳です。

一方のゲルDSトレーナーは…
硬め・厚めでお世辞にも履き心地や走り心地が良いとは言えません。
おまけに細身のラストや小さい踵、窮屈と言えば確かにそうです。

しかし、練習用のシューズとしてふさわしいのは…
圧倒的に走りにくいゲルDSトレーナーです。

走りやすさだけではなく、効率よく練習するためにはどんなシューズがいいかを試してみてくださいね~